団体からのお知らせ・インタビュー

2023 / 02 / 14  11:07

【2/13募集開始】令和5年度 さぽーとほっと基金・新型コロナウイルス感染症対策市民活動助成事業

【2/13募集開始】令和5年度 さぽーとほっと基金・新型コロナウイルス感染症対策市民活動助成事業

さぽーとほっと基金・新型コロナウイルス感染症対策市民活動基金
令和5年度の助成事業募集を開始しました。

さぽーとほっと基金は、札幌市が募集し、町内会・ボランティア団体・NPOなどが行うまちづくり活動に助成することで、札幌のまちづくり活動を支える制度です。

令和5年度前期の事業募集が開始となりました。

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新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、札幌市内でも様々な分野で危機的な状況が続いていますが、市内には、感染症リスク低減対策を実施しつつ、新型コロナウイルス感染症対策に関する活動を行っている、または実施を検討している市民まちづくり活動団体があります。
 
新型コロナウイルス感染症対策市民活動基金は、こうした活動を応援することによって、新型コロナウイルス感染症による影響を受けた方々を支援するため、また、札幌市の市民まちづくり活動を今後も活性化させるため、「さぽーとほっと基金」内に設けている基金です。

2020年度に助成を行った団体は、29団体。助成合計額は3,000万円となりました。
2021年度は募集を行わず、2022年度に助成を行った団体は、5団体、助成合計額は5,782,968円でした。

2023年度は、募集枠650万円(助成上限額:200万円)で3~8団体を募集します。

こちらのページにて、詳細を掲載しましたので、ぜひご覧ください。

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(助成を受けたい > 札幌市内の活動 に掲載)

 

2022 / 10 / 12  09:28

[インタビュー]地域の子どもたちに色んな出会いを届ける E-LINK 日向さん

[インタビュー]地域の子どもたちに色んな出会いを届ける E-LINK 日向さん

NPO法人E-LINK

お寺で寺子屋~みんなの居場所~
(令和3年度札幌市市民まちづくり活動促進助成金 子どもの健全育成事業)

札幌の子どもたちが、遊びや学び、生活のサポートをしながら、多様な大人との出会いをサポートする活動を行っているNPO法人E-LINKを取材しました。

活動拠点である札幌創成東エリアは、子育て世帯の人口増加が著しく、児童館や学童保育等は、定員が飽和状態。加えて、小学校高学年から中学生世代が無料で過ごせる居場所や公園も十分とは言えません。地域の方々が関わり合い、子どもを支える新しい居場所としての『寺子屋』の活動に取り組んでいます。

今回はオンラインにて、理事長日向洋喜(ひむかいひろき)さんにお話を伺いました。

 

 

btn_01project2.gif『なまら、ツナガル』

― まず、E-LINKの活動について教えてください

2019年にNPO法人として発足しましたが、活動は2017年から大通のバスセンターエリアで学童保育「アドベンチャークラブ札幌」として行っていました。子どもがいろんな大人と出会う場所にしようと、ゲストハウスの一角を借りて、『世界と出会う、放課後スクール』として主に小学生が放課後に過ごす場所として実施していました。ゲストハウスを利用する初めて会った兄さん・お姉さんたちと交流しながら、大学のことや日本一周というような様々な体験談を聞き、カメラやバイクでの旅に興味を持つことや、子どもたちの夢の可能性を繋げる機会にもなりました。

もっと色んな子どもにもアプローチできるよう、2019年にフリースクール「LIKEPLUS」を開設しました。今日は札幌国際短編映画祭の運営の方に来ていただき、映画の解説をしながら、子どもたちに話をしてもらっています。不登校児への支援として始めましたが、対象をもっと広げ地域の子どもたちに色んな出会いを届けるために、NPO法人化しました。

『なまら、ツナガル』がミッションです。田舎のような都会、都会のような田舎『TOKAINAKA』を作っていこうと思っています。ここは札幌の大都会で、テレビ塔が目の前にあって、新しいビルやマンションが立ち並んでいるけれど、実は100年以上経つお寺や神社、昔ながらの商店街もすぐ近くにある、新旧が入り混じった場所です。子どもたちも増えている地域ですが、地域のお店や元々住んでいる人のことをあまり知らない。子ども中心につながる社会を作っていこうと活動しています。

実際に学童保育の活動の中で、子どもたちがお寺に遊びに行ったり、地域のお店や会社を訪問することで、いつの間にか子どもたちが学校帰りにそのお店に立ち寄って挨拶していたり、住職さんの雪かきを手伝っていたりしていました。一度顔見知りになったら、一気に距離が縮まるんですよね。お互いに知ることで、街での暮らしが変わるんじゃないか、都会だけれど、田舎のような関係性が作れるんじゃないかと考えて活動しています。

今年度から、「寺子屋プロジェクト」を始めました。元々お隣さんだったお寺から、もっと地域に開かれた『寺子屋』をやりたいんだよね、というお話がきっかけで、一緒にやることになりました。

毎週木曜日に申込など不要で、公園のように訪れる場所としてお寺に遊びに行っています。月1回地域食堂も実施しています。最近は、“ごちゃまぜ開催”ができるようになってきました。土曜日に開催しているので、ライオンズクラブさんなど地域の団体の協力を得て、境内の掃除などのお手伝いもしながら、子どもも大人も無料で50人ほどが参加しています。

他には、親子の居場所づくりにも力を入れていて、プレーパークや、お母さん向けの交流会を開催したり、神社のお祭りに参加したり、昨年から実施しているハロウィンイベントでは、近隣のお店25店舗ほどに協力をしてもらい、約200人が参加しました。街を歩いて、お店を知る・お店の人を知ることを大事に、地域全体で『なまら、ツナガル』ということに取り組んでいます。

2022年4月からは、「探求学習塾 maku-link(まくりんく)」も始動しました。
居場所・きっかけ作りを”自分の学びに変える場所”として、別の拠点で実施しています。
詳細・紹介ページは
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  btn_01project2.gif『身近』に感じられる地域の居場所

― 今回の助成事業について教えてください

先程お話した北海寺を会場にした「お寺で寺子屋」を実施しています。毎週木曜日の放課後に、子どもたち20人ぐらいが参加しています。大学生が中心になって運営していて、“子どもたちが新しい人を知る”をテーマにしています。ただ『間近』にいるだけじゃなくて、自分事として捉え、『身近』に感じられる地域の居場所というのを大事にしています。子どもたちはそれぞれ自由に過ごしながらも、元々お寺に来ていた人の中には、子どもたちのために塗り絵や、パンやおやつを用意してくれる方もいらっしゃいます。

 

この一環として、地域食堂を実施しているのですが、12月11日(土)の様子を、たまたま来てくれていたカメラマンが動画におさめてくれました。いずれ、Youtubeチャンネル等で公開したいと考えています。

E-LINKのYou Tubeチャンネル
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私たちが「子ども食堂」ではなく、「地域食堂」と言っているのは、本質的には誰が来ても良い、大人同士も繋がってほしいと思っているからです。実際に先日のイベントは、子ども20人に加えて、中高大学生、ライオンズクラブの方、保護者の方も参加して、多世代のイベントとなりました。ゴミ拾いもおこなったので、環境の活動を行っている方にも来てもらって、最後にプロジェクターを使って環境クイズなども取り入れ、本当に様々な方に協力いただきました。これまでは木曜日の活動の一環として、毎月最終木曜の夜に開催していたのですが、今回初めて土曜日にイベントの形で開催してみました。

 

元々、大学生のメンバーが中心となっていたので、ボランティアは大学生からの口コミやつながりから始まりました。開始当初にNHKで紹介されたことによって、ライオンズクラブなどの協力を得られるようになり、地域食堂のチラシに毎回お手伝いの募集もしているのでご協力いただける方が増えていきました。

 

 ―  地域の人たちの反応や、地域の変化はどのように感じられますか?

学童保育からのつながりや口コミで広がっていったのですが、今はコロナの影響で遊ぶ場所が減っているので、こういう場所で子どもたちが遊べるのはありがたいという声は届いています。別の事業で、町内会とのつながりも作っているところですが、頑張ってるね、という声掛けをたくさんもらっています。

ただ、本来は町内会の協力を得たいと思っています。しかし、町内会としてのイベントがみんな中止になっていることもあって、町内会として関わるのは建前的に難しく、理解も応援もしていただいていますが、心苦しいなぁという思いです。個々のお店や可能な範囲で協力をしてもらっていますが、ここはコロナが明けるまでの辛抱かなと思っています。

現在のバスセンターエリアは、大きなマンションが立ち並んでいて、今もどんどん新しいマンションが建設されています。3〜4年前ぐらいは400人ほどだった小学校の児童数が、今では600〜700人になり、子どもたちが増えているエリアです。ただ、都市部ということもあって、放課後は塾や習い事に行っているのか、地域の中ではあまり子どもたちの姿は見えません。お祭りのときなどに、「こんなに子どもがいるんだ!」と驚くぐらいです。

公園も2・3か所しかないので、そこに小学校高学年ぐらいの子が集まる印象です。お寺に来ている子どもは、「持て余している子ども」が多い印象です。共働きのこどもが多いのかな。家に居ても一人で、時間を持て余している。公園で遅くまで過ごしてしまう子が多く、治安的な不安もあります。だからこそ、お寺という場所で、安心して過ごせて、地域の人とのふれあいが出来れば、夜帰り道になにかあった場合でも逃げ込めるようなつながりができれば良いと思っています。

 

btn_01project2.gif居場所は居場所としてしっかり残したい

― コロナ禍において、活動への影響はいかがでしょうか?

活動内容は大きくは変わっていません。一番大事にしているのはツナガルということなので、なるべくリアルでという思いがある中で、じゃあどこまで集めたらいいのか、食堂やるにしても、定員を設けるのか、食べる順番、声の掛け方についてはとても頭を悩ませたと思います。

地域食堂の初回は、注文を取ってお弁当で提供しました。でもそれだと、自分たちが行おうとしている目的(地域の人達とつながる)とはやっぱり違うという話になり、2回目は外で食べようとなり、バーベーキューの形にしました。そこでも時間を区切って、交代制の形で開催したのですが、やるかやらないかの判断は難しかったです。

学生や若いスタッフばかりであれば、オンラインで計画を立てて、決行するにしても中止にするにしても、やりとりはスムーズですが、地域の人とは連絡手段は電話であったりするので、タイムラグや伝えきれないことが多々あったのかなと思っています。

現在は感染症の状況が少し落ち着いていますが、状況がまた悪化したとしても、子どもたちの動きとしてはあまり変わらず、居場所は居場所としてしっかり残していきたいという思いがあります。ただ、その中で地域の方が来るイベントや地域食堂の開催方法は、検討していく必要があるのかなと思います。

 

― 運営上の課題や、今後の活動について聞かせてください

運営上の課題としては、予算とマンパワーです。いろんな人のつながりで、やりたいことは広がっているけれど、現在の体制(常勤3名)では余力が無くなってきています。これまでは助成金はあまり活用せず、事業収益や寄付金がメインでした。助成金は新しい事業を行わないとならないイメージがあったので、人件費や運営に活用できる助成金があればとは思っています。

コロナ以前からLINEを活用していて、コロナ禍でもコミュニケーションには支障はありませんでした。スタッフ・ボランティア・サポーター・寄付してくれている方のグループがそれぞれあります。学童保育とフリースクールは活動後、個別に全保護者に報告を送っています。サポーターにも定期的に、活動報告や今後の予定を送っていて、よくコミュニケーションが取れていると感じます。

よくある手書きの連絡帳だと、どうしても時間が取られるし、保護者の方も大変。LINEだと誰しもが使えるツールになっているので、双方向でやりとりしやすくなりました。保護者の方は「返信いらないですよ」と言っても、フィードバックくれたり、自宅での様子を伝えてくれたり。学生もボランティア情報を拡散してくれたりしています。お便りもLINEでお送りしていて、イベント情報を載せたチラシも画像だと見てもらいやすく、情報の拡散に協力してもらえるので、なるべくLINEを活用するようにしています。

以前のゲストハウスの建物は、オーナーが高齢で取り壊すことになり、(2021年)7月に移転しました。とはいえ、小学校1年生が歩く距離を考えると、場所を大きく変えるわけにはいかないので、小学校近隣を探していたので、物件探しには時間がかかりました。新しい拠点は4階建ての建物の2階です。1階がカフェ、3階がコワーキングスペースなので、地元の人とのつながりを作るには理想的な環境かなと思います。カフェには、ハロウィンイベントでも協力いただいて、子どもたちがお店の方にお手紙を書いたり、お花を届けたり、ハロウィンのおばけかぼちゃを飾ってもらったりといった関わりが作れています。コワーキングスペースを利用している方からは、おやつをもらったり。以前の場所から徒歩3分ぐらいですね。いい場所に移ることができました。

子どもたちとの関係や、地域の中で子どもたちにアプローチする手段が、やっと出来てきたのかなと思っています。次はどこまで広げていけるか、というところですね。寺子屋に来ている子どもたちの学年の幅を広げる、もっと親御さんや町内会へのアプローチはまだできていないので、本当の意味での地域との繋がりを、団体としても、寺子屋の事業としても、広げていかなければならないし、そうなっていけるのではないかなと感じて、機会を探っています。

 

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インタビューを振り返って

 「田舎のような都会をつくりたい」という日向さんの言葉を聞いて、自分の子ども時代を思い出しました。札幌の中心部の社宅で育った私は、社宅の子どもたちと近所のお寺でセミの幼虫を探したり、近所の空き地で一日中遊んだりして、地域のおじさんおばさんたちとも自然にコミュニケーションをとっていました。E-linkさんは、今の時代に合わせて、都会の子に豊かな体験をもたらす素晴らしい活動をされていると思いました。(高山)

 

 

インタビュアー 
定森光(さだもりひかる)北海道NPOサポートセンター
高山大祐(たかやまだいすけ)北海道NPOファンド
※インタビューは、2021年12月13日にオンラインにて行いました。

 

記事作成
佐藤綾乃(さとうあやの)
支援協議会事務局

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2022 / 09 / 10  13:30

[公募中・9/23締切]2022年度越智基金・ウィズ/ポストコロナの市民活動特別枠ほか(北海道NPOファンド)

[公募中・9/23締切]2022年度越智基金・ウィズ/ポストコロナの市民活動特別枠ほか(北海道NPOファンド)

2022年度市民活動支援基金の申請が始まりました

2022年度の越智基金は、3つの募集枠があります。

申請受付中 2022年9月1日(水)~9月23日(金)消印有効

 

btn_01project2.gifウィズ/ポストコロナの市民活動特別枠

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市民生活は落ち着きを取り戻しつつあるとはいえ、依然としてコロナ感染者は増減を繰り返し、完全な収束には至っておりません。感染拡大防止に取り組んでいるNPOや、新型コロナ収束後を見据えた活動を行っている団体への助成を行います。

助成額は1団体あたり1~10万円(総額80万円)で、使用使途の限定はありません。
ただし、2023年3月までに実施するものに限ります。

詳細・要項・申請書類は btn_kotira4.gif

 

 

btn_01project2.gif市民活動一般枠

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今年度は、昨今の物価上昇の影響を受けやすい訪問型の支援活動をしている団体への助成を重視します。

助成額は1団体あたり1~10万円(総額50~70万円)で、使用使途の限定はありません。
ただし、2023年3月までに実施するものに限ります。

詳細・要項・申請書類は btn_kotira4.gif

 

 

btn_01project2.gifウクライナ等国際紛争避難者支援活動特別枠

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ロシア・ウクライナ戦争はいまなお続いており、紛争地に住む一般市民に大きな影響を与え、多くの方が国外に避難しています。また、アフガニスタン、シリア、ミャンマーなど市民生活にとって危険な紛争地があり、世界中のNGO等が支援にあたっています。

この特別枠では、ウクライナやアフガニスタンなどの紛争地域から北海道に避難してきた方を支援する活動を行っている団体に助成を行います。

助成額は1団体あたり10~20万円(総額50万円)で、使用使途の限定はありません。
ただし、2023年3月までに実施するものに限ります。

詳細・要項・申請書類は btn_kotira4.gif

 

2022 / 08 / 30  09:46

[インタビュー]『栄養価の高い、安全・安心、美味しい』を理解してもらうために~農業塾 風のがっこう 長谷川さん

[インタビュー]『栄養価の高い、安全・安心、美味しい』を理解してもらうために~農業塾 風のがっこう 長谷川さん

NPO法人農業塾 風のがっこう

保育園児野菜づくり体験及び小学生越冬野菜作り学習と雪遊び事業
(令和3年度札幌市市民まちづくり活動促進助成金 エスエーこども応援基金事業)

 

農業体験を通して、子どもたちには食の大切さ・命の尊さ、若者には汗して働くことの必要性、成人・高齢者には農と食・環境・健康についての学びの機会を提供しているNPO法人農業塾 風のがっこうを取材しました。

今回は簾舞地区にある農場を訪問し、理事長長谷川豊はせがわゆたか)さんにお話を伺いました。

 

btn_01project2.gif農業への関心を

― まず、農業塾 風のがっこうの活動について教えてください

農業の担い手を育てるという人材育成を進めるため、2004年に法人化しました。昔は多くの人が学びに来ていましたが、現在は、障害者や高齢者の方々に来てもらい、農業への関心を持ってもらう取り組みも行っています。また、子どもたちに、安心安全で栄養価の高い作物について知ってもらう機会を作る必要があると考えています。

コロナ禍以前は外国人の研修生を受け入れていました。(厚生労働省の)外国人技能実習生ではなく、農業を学びたいという外国人を受け入れて、3ヶ月間、日本の農業の良さや技術について教え、自国に戻り実践してもらうためのものです。

 

  btn_01project2.gif1番わかるのは子どもたち

― 今回の助成事業について教えてください

保育園児や小学生とその保護者を対象に、野菜づくり体験を実施しています。子どもたちを対象とした取り組みは、20年前から行っていますが、『栄養価の高い、安全・安心、美味しい』がいかに大切であるかを、より理解してもらうため、短期的な農場での体験活動ではなく、継続した体験活動の取り組みを実施しています。

保育園児には、春から秋にかけて、土づくりから始めて、挿し木して、管理して、収穫して……「自分たちが育てたものがこんなに美味しい!」ということを、保護者や保育園スタッフも一緒に体験してもらいます。保育園にも、園庭に野菜のプランターがずらっと並べて育てているので、時々指導に伺っています。

小学生は、秋に収穫したキャベツを雪に埋めて、越冬野菜づくりについて学びます。簾舞小学校の子どもたちは、体験活動の日とは関係なく、よく農場に遊びに来ていますよ。

育て方によって、野菜独特の青臭さなどが無く、苦手としてた野菜が、みんな食べられるようになるんですよね。野菜の味の違いが、1番わかるのは子どもたちです。畑の中の微生物が多くて、栄養価が高いので、美味しくなります。そして、それらが健康な身体を作ることを、皆さんに実感してもらいたいです。

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btn_01project2.gif農業を理解してくれる人を増やす

―  コロナ禍において、活動への影響はいかがでしょうか?

コロナになってから、ここを訪れる人は増えています。屋外で環境が良いからでしょうか。事業とは関係ない一般の方、特に消費者の方が多いですね。「草取りしたい」という方も来ますよ。ここが、楽しくて美味しい野菜だということを知っている人が、草取りに来て、野菜を食べて帰ります。若い人も結構居ますね。テレワークになって時間が出来たという人もいて、新しいつながりができたと感じます。団体のホームページがあるわけでもないので、皆さん人づてにいらっしゃいます。

ただ、日頃からオープンに自由に農業体験させているわけではないので、日時を決めて、やるなら本気でやってもらわないと困りますね。農業を理解してくれる人を増やすために、買って食べるだけではなく、どうやって作っているのかを知ってもらう格好の機会ですから、食の安全について、世の中の人に知ってもらいたいと思っている人に、ぜひ来てもらいたいと思っています。

 

btn_01project2.gif街の人が農場に来て、やり方を学ぶ

― 運営上の課題や、今後の活動について聞かせてください

若い人たちが来てくれるのはすごく良いですね。今後は、リーダーを決めて、自主的に作業について決めるようにするような仕組みを、もっともっと広げていきたいです。『農業の担い手を育てる』ことは、まず安心・安全な食べ物を知ってもらうことです。街の人が農場に来て、やり方を学ぶ。家庭菜園でもチャレンジできるように、広げ、伝えていくことが大事です。ここは札幌中心部から30分ぐらいの場所です。関心の高まりは感じているので、農業に触れる人が増えて欲しいと思います。

また、コロナ禍以前は、国内外でも活動をしていました。特にモンゴルでは、砂漠でもできる農業の方法を伝える活動を行っていて、モンゴル国内でどんどん野菜づくりが進んでいきました。感染症が落ち着いたら、また行きたいと思っています。

運営に関しては、お金が無いから大変ですよ。昔からね。近年では、複数の企業が支援してくれるようになって、資材や材料費、運転資金に充てることができるようになりました。インターネットでの情報発信ができていないのが大きな課題です。現在は、使えるスタッフが居ないので、まったく活用できていないです。今後、いま通ってきている若い人が、スタッフになってもらえることを期待しています。

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インタビューを振り返って

青空と山並みがきれいにみえる素敵な農園で、リラックスした雰囲気のなかのインタビューとなりました。特に印象に残っているのがコロナ感染症によって農園を訪れる若い人が増えているという話でした。コロナ感染症の拡大によって従来の活動が出来にくい中、新しい市民のニーズに柔軟に対応しているのだと感じました。(定森)

 

インタビュアー 
定森光(さだもりひかる)
北海道NPOサポートセンター
※インタビューは、2021年9月11日に行いました。

 

記事作成
佐藤綾乃(さとうあやの)
支援協議会事務局

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2022 / 05 / 09  14:48

[座談会企画]道内地域におけるフードバンク活動のいま(2)

[座談会企画]道内地域におけるフードバンク活動のいま(2)

国内では2000年頃から、食品の製造や加工の過程で発生する規格外品等を引き取り、福祉施設等へ無料で提供する「フードバンク」と呼ばれる活動が広がりました。まだ食べられるにも関わらず、食品が廃棄されてしまう、いわゆる「食品ロス」削減の観点から、国では農林水産省が中心となって活動を支援しています。新型コロナウイルス感染拡大の長期化により、生活困窮者に向けた有効な支援策としても期待されています。

前身である北海道内中間支援組織「コロナアクション」として開始した座談会も、今回で3回目となりました。第3回座談会では、地域でフードバンク活動を展開している道内の3つの団体に、オンラインでお集まりいただきました。取り組みを始めたきっかけや具体的な活動の内容、いま抱えている課題やこれからの展望についてお話をうかがい、中間支援ネットワークとして活動の実態を学ぶとともに、課題を解決できるよう、活動団体同士や関係機関との連携・協働を考えます。

※この企画は2022年2月26日に開催しました。2回に渡って記事を掲載します。

右写真:座談会参加者の皆さんと。

 

btn_01project2.gifスピーカーの皆さん

 

フードバンク千歳 すまいるはーと(千歳市)

代表 根本幸枝(ねもとゆきえ)さん、副代表 河津佳澄(かわづかすみ)さん   

       

NPO法人ピーシーズ(フードバンク旭川)(旭川市)

理事長 井上俊一(いのうえしゅんいち)さん 

 

フードバンク道南協議会(函館市)

事務局長 中森 司(なかもりつかさ)さん

 

 

◆主催:北海道中間支援ネットワーク

・座談会進行:竹田剛憲北海道立市民活動促進センター

       丸藤 競函館市地域交流まちづくりセンター

・記録:溝渕清彦環境省北海道環境パートナーシップオフィス

 

 

btn_01project2.gifフードバンク活動団体が必要とする支援とは 

 

中森:皆さんにひとつ、お聞きしたいことがあります。いま農林水産省で、フードバンク活動を支援しようという動きがあります。「フードバンク支援緊急対策事業」というもので、運搬用車両や保管用の倉庫、機器を借りる経費や、輸送するときの経費やボランティアのガソリン代を支援するという補助制度です。
では、直接、食品をもらえるのかというと、この事業ではもらえません。また、応募する団体の数が多いと、補助の対象から外れてしまう可能性もあるでしょうから、私たちは応募しないでおこうと思っています。「食品を提供して協力するよ」という企業に、農水省などの官庁で輸送費を出してもらえると大変助かります。
参考)フードバンク支援緊急対策事業
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井上:こちらにも農水省事業の情報は来ています。今回の補助制度は、交付のための事業実施報告等を含めて、かなり使いづらいと感じているので、私たちも応募を見送ることにしました。農水省は、国の災害用備蓄食品の提供、有効活用に取り組んでいて、昨年の初めくらいまでは先方で輸送費を負担してくれていましたが、この補助制度ができてから、引き取りにおいで、もしくは団体持ち(着払い)だよということになっているのかなと思います。
参考)国の災害用備蓄食品の提供ポータルサイト
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― フードバンク活動団体に対しては、どのような支援、補助制度が有効でしょうか。

井上:実際に食品を提供してくださる企業に対して、直接、輸送費等を補助するような仕組みの方が、企業も参加しやすいと思います。フードバンク活動団体も事務的な手続きが発生しないので、食品をスムーズに受け取ることができます。

根本:私たちの悩みは、補助制度などはだいたい活動実績が1年以上ないと、申請できないという要件があることです。無料で災害用備蓄食品を受け取ることができても、輸送費は活動団体の負担となると難しい。もう少しどうにかできるといいのにと思います。

河津:私たちは団体を立ち上げたばかりですので、農水省にそうした補助事業があるということも、正直いま始めて耳にしました。

 

 

 btn_01project2.gif資金・食品・情報・連携……それぞれが抱える課題

ー その他ににどのような課題がありますか。また、他の団体にうかがってみたいところはありますか。

中森:食品はボランティアさんに車両で運んでもらうのですが、ガソリン代も上がっているのでまったくの無償では私たちも心苦しく、継続的に活動していくために、ガソリン代はお渡しています。助成金や補助金を得るためにインターネットで助成団体等を調べて申請しています。

井上:私たちは設立時から、いかに生活困窮者の方との接点をつくるかが課題でした。検討した結果、個人の方を特定する必要はないという判断に至りました。行政、公共の機能で困窮されている方を拾い上げています。例えば旭川市自立サポートセンターや旭川市生活支援課。保護認定がおりるまで1週間から10日程かかるので、連絡を受けて、その間支援する。また、社会福祉協議会に相談に来られた方や、地域包括支援センターで把握している困窮されていると思われる方。センター等から依頼を受けて、支援に取り組んでいます。このように困っている人のセンシングを行っています。
ですから私たちのフードバンク活動は、例えば母子家庭の支援のように、継続的に行うものではありません。継続的な支援が必要な方には、本来の社会福祉サービスと結び付ける。その結び付くまでの間ということで、支援しています。

根本: 私たちのいまの課題は、正直に言えば、支援する食品が十分には集まっていないことです。回を重ねるうちに分かってきたのですが、私たちとお話することも含めて、皆さん、親子でマルシェに来ることを楽しみにしています。お母さんが一人で、数人の兄弟を抱えて頑張っている世帯も多いので、「一人ひとりにこんなにお菓子が当たるんだね」と喜んでいる様子を見ると、カップラーメンやお米、お菓子ひとつでも開催したいと思い、毎月、何とか継続しています。
皆さんは長く活動されているので、地域に理解をいただいていると思いますが、最初はどのように活動情報を発信し、お付き合いを増やしていったのでしょうか。私たちは団体の説明資料を作成して、企業や地域、行政等へ配布しています。また、母子家庭の方にアンケートをとって、福祉団体や関係機関にお伝えしたいと考えています。

中森:団体の設立時から、女性の市議の方に関わってもらっています。社会福祉協議会に後援をお願いする際に、挨拶に同行していただきました。また、函館市役所にも話をしてもらい、いまでは災害備蓄品の交換の際に、水や缶入りのパン、レトルトのご飯なども提供されるようになりました。市の方も廃棄処分してはもったいないので、そうしたつながりができれば、食品が集まるようになるのかなと思います。
それから新聞記者の方にも活動をお知らせして、取材記事を掲載してもらいました。若い人はあまり新聞を見ないと思いますが、ある程度、年配の方は時間にも余裕があり、丹念に新聞を読むんですね。そうした方から「うちに余っているものがあるから、取りにおいで」と連絡をいただくことがあります。そのように少しずつ、活動が知られるようになってきました。
札幌が良いなと思うのは、市役所のホームページで、フードバンク活動を活動団体の情報とともに紹介しているところです。そうした情報発信があると、食品も集まりやすいのかなと思います。地域の企業に協力いただけないかと挨拶に行きますが、本社が札幌という企業もあり、本社と調整してほしいと言われることもあります。行きたいのはやまやまですが、こうした状況なので、なかなか札幌に足を運ぶことはできていません。
また、知り合った北海道農政事務所の方を通じて、東京や北海道のフードバンク活動の情報が入るようになりました。その縁で、よつ葉乳業さんからも牛乳の寄付をいただきました。そういったつながり、働きかけも重要だと思います。

井上:私たちはまず、食品を提供いただく形式を2種類、考えました。ひとつは食品を扱っているメーカーさん、量販店やスーパー、農協さんなどです。いくつか当たっていきまして、いまも支援いただいている企業さんもあります。ただ企業さんからいただく場合には、同じ食品がいっぱい来ます。困窮者の方から2週間分お願いしますと言われた場合に、同じものを3食2週間分お渡しするということにはなりませんよね。そこで食品の多様化も期待して、個人の方からの提供も得たいと考えました。
北海道新聞社の旭川支社に相談をしたところ、支社長を含めて応援してくださり、積極的にアピールしてくださいました。人に余剰食品を差し上げるということは、生活に余裕がなければ難しいですよね。そこで新聞を読む余裕がある方に情報をお伝えすることで、寄付がどんどん来るようになりました。個人からの寄付はバラエティに富んでいます。一方で企業さんからいただく大量の食品。これを組み合わせて提供することができるようになりました。

根本:ありがとうございました。明日から情報発信にもがんばりたいと思います!
もうひとつ、お話を聞かせていただければと思います。私たちは最初、近所のママさんたちに協力をいただきたいと考え、チラシを配っていましたが、「私たちもそんなに余裕はないんだよね」という声がありました。先ほど「新聞を読んでいる余裕のある層からの支援」というお話がありましたが、支援してくれる人の生活まで思いが及んでいませんでした。私たちはママさんたちのそういう言葉を聞いて、活動が止まってしまった、ということがあります。それで皆さんにおうかがいしたいのは、何か言葉を聞いて活動が止まってしまった、ということがあるかということです。

中森:私はそんなにありません。年齢も年齢なので、自分でできることを、動けるうちはやりたいという気持ちです。函館もとても大変です。母子家庭の方を対象にしたアンケート調査を行いましたが、深刻な状況です。そうした方たちに、なんとか食品を届けたい。私たちの活動を知って、給付金の10万円を寄付するという方もいらっしゃいます。情報を届けて、余裕のある人から支援をいただけると嬉しいです。

井上:取り組みを開始した初期に大手の企業を回った際、スーパーの経営者から、こんなお話をいただきました。「賞味期限が切れたものは提供できるけれど、切れていないものは『お金』。だから、協力したいと思っても、なかなか出せないんだよ」と。また、他の企業さんでは「自分の会社はこの地域で営業している以上、貢献する必要があると考えています。少ないけれども、いいですか」とおっしゃっていただいて、決して少なくない食品をいただいています。命を取られるわけではないので、がんばってやっていきましょう!

 

btn_01project2.gifコロナ禍による影響、変化など~参加者からの質問

― 活動資金に関して、ボランティアの活動費として活用できる助成金等を探しているとのことでしたが、どういったところで情報をお探しですか。

中森:インターネットで検索すると、いろいろな助成金の情報が出てきます。とにかく情報を集めることが重要です。この助成金であれば受けられそうかなと思ったりしながら、当たって砕けろという気持ちで申請しています。

 

― すまいるはーとの根本さんにおうかがいします。ひとり親世帯に食品を提供する際に、児童扶養手当証書などの証明書を確認されているのでしょうか。自己申告でしょうか。

根本:証明書は特に確認していません。いらっしゃっているのはシングルマザーの方であると信用してお渡ししています。食品よりもむしろ、交流する場を提供したいというのが私たちの気持ちですし、私たち自身も楽しんでいます。
他の皆さんは、証明書を確認されていらっしゃいますか。

中森:有志の市民グループ「函館東こどもサポートクラブ」と活動をご一緒した時のことを紹介します。北海道行政書士会函館支部さんからお米をいただけることになり、母子家庭世帯の支援を行うことにしました。その際も、私たちの活動に関わってくださっている市議さんが函館市役所子ども未来部に掛け合って、手当の申請書類を発送する際に、チラシを同封してもらいました。そのチラシを持ってくれば、食品をお渡しするようにしました。
「函館東こどもサポートクラブ」に登録している母子家庭は、昨年は約120~130世帯でしたが、現在は250~260世帯と聞いています。

井上:別の話題になりますが、フードバンク事業で最も集まりにくい食品がお米です。主食なので、最も集めたいのですが、スーパーで精米されたお米は、2週間経つとお煎餅屋さんにまわるというようなルートが確立しています。これは困ったなと思いました。
そういうときに、旭川では農家と年間契約で玄米を購入している人が多いことが分かりました。その都度、必要に応じて20kgほど精米して食べている。個人の方から「玄米だったらあるよ」と連絡があったんですね。例えば、息子さんが進学や就職で家を出ると、その家庭でお米がだいぶ余る。ただし、提供いただけるのは玄米で、私たちには精米できない。
実はたまたま、事務所の裏側にお米屋さんがあり、親しくしていました。相談すると、「玄米を持ってきてくれれば、精米して小分けにしてやるよ。それくらいしかできないけれども、それでもいいかい?」とおっしゃってくださった。それで、お米が不足するようなことはなくなりました。このように地域の社会資源を有効に使わせていただけることもあるので、千歳の皆さんもぜひ、いろいろ情報を探ってみてください。

 

― 市議会議員や市役所の方とつながるコツはありますか。

井上:議員さんはSNSで情報発信をしている人もいます。まず友達になりましょう。こんな活動をしていて、こんなPRしていますよと、どんどんプッシュして良いと思いますよ。私たちは、函館の取り組みほど、強力に市議の力をお借りしているわけではないですが、お力添えをいただいています。
また市役所とは、環境部署が廃棄物削減の観点から接触してくれることになりました。実は新型コロナウイルス感染症がまん延する前に、旭川市民にお知らせしようという話が進んでいました。具体的には市内7か所で、市民向けの説明会を開催する予定でした。残念ながら中止になりましたが、市役所のホームページに、団体ホームページへのリンクも含めた活動情報を掲載されています。
議員さんも市役所も、きちんと活動していれば、きちんと応援してくれる人とつながります。まずはホームページやSNS等を使って情報を発信して、どんどん結び付いていくのが重要だと思います。

中森:議員さんとは昔からの付き合いがありました。生活困窮者の支援活動の関わりで市役所や社会福祉協議会ともつなげていただき、市役所の中でも活動が知られていくということがありました。新聞社などにも積極的に情報発信しています。

根本:私たちの活動も、市役所の方から「何かお手伝いがあれば」「企業からお話があれば、おつなぎします」と言っていただけるようになりました。皆さんに活動を知ってもらおうと、がんばっているところです。

 

― 活動を紹介する媒体を用意しておくことは重要だと感じました。他に共有したいことはありますか。

中森:最初の活動紹介の話題に戻りますが、先日、釧路方面の60人程の技能実習生の方から、支援してほしいという連絡がありました。道南の技能実習生を支援している湯川カトリック教会の担当者と相談しましたが、教会も釧路方面では活動ができていないとのこと。その後、一般社団法人JOY(函館市)が支援してくれるということで、ひと安心しています。
技能実習生の方まで目が向かないところもありますが、彼らの中でも食べることさえ難しく、仕送りも満足にできない状況にある方もいます。道内で働いてくれる人が多くなっていく中で、共生できるような社会になればよいと考えています。各団体で連携して、支援するようにできればと思います。

井上:同じ内容だと思われる相談がこちらにもありました。距離の遠さもあり、期待には沿えない旨、返事をしました。
技能実習生のみならず、コロナ禍になって家庭の屋台骨を支えていた方の失業、失職による支援要請が増えています。困っている人が声をあげやすい環境もなければ、行政に相談窓口があるということも知られていない状況です。
私たちの活動には個人の方からの相談もありますが、一度、行政に支援の要請をしていただく流れになっています。どのように支援を必要とする人を見つけていくか、つなげていくか、難しい部分があると思います。母子家庭の方たちにも。遠慮なくこの仕組みをつかってもらえればいいなと考えています。

根本:私たちの活動でも「なぜひとり親世帯だけが対象なのか」という声があります。心苦しいのですが、現状をお伝えしてお断りしています。

 

― コロナ禍の前後でのニーズの変化、活動への影響(協力者、支援者)を教えてください。

井上:コロナ禍によって支援要請はもちろん増えています。もう少し詳しく言うと、世帯数が増えています。これまではお一人世帯の方が多かったのですが、一家での支援要請です。例えば5人家族でしたら、1、2週間分の食品はそれなりの量になります。1回では運ぶのは難しいので、2回に分けたり、支援要請を繋いだ団体に運んでもらったりしています。そういう支援要請が、ここ1、2年と増えたと感じています。

根本:「もったいないわ・千歳」の活動でも、千歳空港の関係でかなりの量のお菓子などの「お土産」を提供いただきました。市内の幼稚園に配布できるほどの量でした。現在は利用者の減少に伴って生産調整をしているようで、入らなくなってきています。

中森:支援要請はやはり増えています。母子家庭を支援している団体に登録されている方も、これまでの倍くらいになっています。
私たちは、大きなフードバンク活動団体のように、継続的、定期的に支援するところまではできませんので、生活保護の受給までの1~2週間、市などからの要請があって支援をしています。もう少し食品が集まれば困っている方に届けることができるのに、と思います。いかにものをいっぱい集めるかをいつも考え、PRしたり情報を集めたりする日々です。

 

― 他の地域のフードバンク活動団体との連携(情報交換、食品提供など)はありますか。

中森:昨年だったと思いますが、東京のフードバンク活動団体から情報提供があり、アルファ米5kg箱を200箱ほどいただくことができました。大変助かりました。
今回の座談会も、フードバンク活動団体同士でつながろうという呼びかけがあり、参加しました。お互いにものが余っていれば、物資の交換ができればとも思います。
ただやはり、総務省と農林水産省など行政は縦割りで、融通が効きにくい。総務省でフードバンク活動に関するアンケート調査を実施しているので、そうした課題の解消をして支援してほしいと回答しました。

井上:昨年、富良野市で「フードバンク富良野」という団体が立ち上がりました。持続可能なフードバンク活動を目指したいということで、私たちのオペレーションの仕方について情報提供しました。私たち自身は旭川市内での活動ですが、社会福祉協議会間で情報共有されたようです。富良野市は、じゃがいもの一大生産地でもあるので、大量に提供いただきました。

根本:私たちは、引き続き「もったいないわ・千歳」から勉強させてもらい、活動面でもいろいろアドバイスをいただいています。取り組み方が少し違っても、同じフードバンクの取り組みなので。

 

― 今後の展望について、お話をお聞かせください。

根本:立ち上げたばかりの団体なので、少しずつ、皆さんに知っていただくということが第一です。支援する側も、支援される側も、お互いに笑顔になれる「第三の場所」が実現するよう、頑張っていきたいと思います。

河津:学生の皆さんにもボランティアで参加してもらっているので、若い人たちの力も借りて、継続していける活動になればと思います。

中森:ものが少しずつ集まってくるようになりました。活動開始当初は、お米が1トンくらいでしたが、2021年度は10トンくらいになっています。もっともっと支援できればいいなと考えています。身体が動くうちは頑張ります。

井上:いまは食品を提供していただく量と、提供する量、おおむね均衡している状況です。ただ、支援を必要としていながら、フードバンク活動を知らない人もいます。社会の受け皿としてフードバンクが知られていくと、必要とされる量も増えていきます。
それに対応するために、これはフードパントリー事業の一環になると思いますが、大なり小なり、色々な企業に、職員の皆さんから食品を集めていただくような仕組みをつくりたいと考えています。

 

ー 本日は長時間、お話をいただきありがとうございました。
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btn_01project2.gif北海道中間支援ネットワークって?

今日の座談会を主催する「北海道中間支援ネットワーク」の前身は、コロナ禍への対応を考えて生まれた道内の中間支援センターの連携団体「コロナアクション」です。「コロナアクション」では道内の中間支援センターが定期的に集まって、新型コロナウイルス感染症の地域への影響や支援の状況などを共有し、対応策を考えたり、市民活動団体を対象としたアンケート調査を実施して、道庁に対して調査結果を踏まえた要望などを行ってきました。
コロナ禍がもたらした地域社会の混乱はまだまだ収まっていませんが、「コロナアクション」の取り組みを発展させて、全国の中間支援センターとも情報共有を行い、道内で普段から学び合えるような活動ができればと、昨年度「北海道中間支援ネットワーク」を設立しました。市民活動を支えるプラットフォームとして、全道的に力をあわせて取り組んでいきたいと考えています。

 

 

記事作成
溝渕清彦(みぞぶちきよひこ)
環境省北海道環境パートナーシップオフィス(EPO北海道)

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