団体からのお知らせ・インタビュー
[お役立ち情報]助成金の募集情報を更新しています(新着10件)
秋は、助成金申請シーズン!
2021年度事業を対象にしたものが数多く募集される時期ですが、今年は2020年度中に行われるコロナ対策事業に関連するものも、まだまだ募集が出ています。
本日より、道内のボランティア団体・市民活動向けコロ ナ対策助成の募集が始まりまし た。
コロナ対策用の衛生用品・備品購入に活用できます(11/30締切・北海道地 域活動振興協会)。
また、北海道NPOファンドの「休眠預金等活用・新型コロナウイルス対応緊急支援助成・北海道リスタート事業」の第2次公募も受付中です(11/4 日締切)。
お役立ち情報のページでは、助成金の募集情報を随時更新していますので、ぜひご参考に!
[インタビュー] 子どもたちが「頑張っている状態」になっている~ NPO法人フリースクール札幌自由が丘学園 高村さん
NPO法人フリースクール札幌自由が丘学園
不登校、学校について悩みを抱える子どもと保護者の居場所・相談・学習支援事業
新型コロナウイルスへの不安、長期の休校、学校・生活環境の変化にストレスを感じている子ども・保護者の方が多い中、不登校や学校について悩みを抱える子ども・保護者への支援を行っているNPO法人フリースクール札幌自由が丘学園を取材しました。
1993年に開校したフリースクール札幌自由が丘学園は、不登校の小中学生が安心できる居場所と学びの場を提供するフリースクール事業などを行っています。スタッフの高村さとみ(たかむらさとみ)さんにお話を伺いました。
休校による子どもたちへの影響
― まず、今回の事業を行うに至った経緯を教えてください
現在、私たちのフリースクールには小学6年生から中学3年生まで約20名が在籍しています。札幌市と同じ期間は本学園も休校とし、4~5月は活動休止状態となっていました。その間、学習プリントの郵送などは行っていましたが、サポートは手薄になってしまったと感じています。また、保護者からは「ずっと家にいるため、運動不足などの健康面が心配」「家で自主的に学習していくことは難しそうだ」という声もありました。臨時休校期間は、不登校の子に限らず同じ不安や課題を抱える子が増えるのではないかと思います。
私たちがこれまでフリースクールとして培ってきたノウハウを生かしながら、こうした不安を抱える子ども・保護者に対してできるサポートとして、相談やフリースクール開放デーという子ども・保護者が安心して一息つけるための事業を考えました。
また、再び臨時休校になった際はLINE動画による授業配信を計画しています。これは、フリースクールに通う生徒の「LINEだったら、繋がれそう」という声からアイディアを得たものです。「学校の授業にはついていけないけれど、フリースクールの授業なら何となくおもしろそう」。そんな子に利用してもらえればと思います。
学校とは違った居場所であり学びの場、そして新しい出会いの場。
フリースクールの校舎は札幌駅から徒歩圏内にあります。
「頑張っている状態」の子どもたちのSOSをキャッチできるように
― 事業を実施してみて、反響などはいかがですか?
相談は、現時点では想定していたほど多くはありません。
土曜日相談会は、コロナがきっかけというよりは、元々課題感のある子どもの相談が多い印象です。子どもたちがどのような思いを持っているか、保護者の方がどのような心配を抱えているかを聞くなかで、コロナに関することをお伺いするような流れになっています。
開放デーは、フリースクールに関心のある人は誰でも参加できるようにしています。同年代の子どもたちと出会う機会にもなるので、相談というより、ここで楽しく過ごしてもらいたいと考えています。子どもたちに「何がやりたいか」考えてもらう時間もあるのですが、最近はボードゲームが人気ですね。気分転換にもなればと思っています。
― 子どもたちの状況について、どう感じていますか?
私が気になっているのは、子どもたちが「頑張っている状態」になっていることです。
子どもたちは、子どもたちなりに今の状況を受け入れて頑張っている、頑張ってなんとかやっている状態です。休校明け・分散登校の流れの中で、勉強に追いつけず学校に行くのが辛くなってしまったというお話もあります。先生方も授業の内容を詰め込まざるを得ない状況になってしまっているようです。
まわりの大人たちから見ると、変わらないように見えるかもしれないけれど、頑張り続けていて、これから疲れが出てくるのではないかなと。早めにSOSをキャッチできるように、まわりの大人が気づくか、本人が言えるような環境を作ってもらいたいです。
お話を伺った高村さん。
子どもたちの状況について、教員の方々との情報共有も積極的にされているそうです。
困った時に相談できるところが存在していること
― 今後の活動についてお聞かせください
「困った時に相談できるところが存在していること」が大事なので、事業自体を多くの人に知ってもらえるよう、チラシの配布やSNSからの発信を行っています。
私たちは、子どもが頑張り過ぎている時や保護者が不安になった時に、頼ってもらえる存在でありたいです。フリースクールは、同じ境遇の子どもたちがいます。一度様子を見に来てもらうことで、「同じ境遇の子どもがこんなにいるんだ」と気づくことで、気持ちが楽になれると思います。
インタビューを振り返って
取材に伺い校舎の階段を上っている時、談笑しながら歩いてくる2、3人の生徒さんとすれ違いました。そして教室の机には、たくさんの文字や絵が書かれていて、「ここでなら、自分を出せる」という自由な雰囲気があるように思いました。お話しを伺い、フリースクールが、子どもの居場所や学習支援という点で、災害時やこのたびの緊急時に居場所としての大切な機能を果たすことを実感しました。(高山)
インタビュアー
高山大佑(たかやまだいすけ)
北海道NPOファンド
※インタビューは、2020年9月7日に行いました。
記事作成
佐藤綾乃(さとうあやの)
支援協議会事務局
[インタビュー]元気な笑顔が見たい、見せたい~NPO法人たすけ愛ふくろう清田 中村さん
NPO法人たすけ愛ふくろう清田
タブレット・ネットワーク活用で、地域交流を復活させる事業
ステイホーム、新しい生活様式などで、希薄となりつつある地域交流、触れ合いを少しでも取り戻し、「大切な人と、一緒にいるように話がしたい」「元気な笑顔が見たい、見せたい」……そんな思いを実現できるよう、タブレットを活用した交流事業を実施されているNPO法人たすけ愛ふくろう清田を取材しました。
たすけ愛ふくろう清田は、誰かの「困ったな」と誰かの「助けたい気持ち」をつなぎ、日々の暮らしの中で、援助が必要な高齢者・障害者やその家族、その他手助けを必要とする方々へ、会員相互扶助による日常生活支援を行っています。代表の中村則夫(なかむらのりお)さんにお話を伺いました。
人と人をつなげるためのサポート
― まず、今回の事業を行うに至った経緯を教えてください
普段の事業では、「地域の助け合い」をつなげるため、家事、買い物、話し相手、子育てサポート、そのほか生活全般を対象とした活動と、サロンの開催などの事業を行っています。
コロナ禍という状況下で、人とつなげるためにはどのようなサポートができるのかを考えた時、タブレットを使用したテレビ電話での会話を楽しむということを考えました。
今回の助成金は、(自己資金を必要とせず)全額助成、人件費の助成があり、やる気があれば応援するという趣旨であることからこの助成を受けました。
テレビ電話で大切な人との会話を楽しみませんか?
顔を見て話すことができる環境を
― これまでの活動との違いや難しさはどんなところですか?
コロナ禍で、入院・入所されていると家族と面会できないことは不安です。また、移動制限などある中で、遠くに住む家族や親せき、友人など、会うことができない方も多いです。そのような方々が、顔を見て話すことができる環境を作っていくものです。
今回の助成でタブレット2台、モバイルデータ通信機2台を購入し、多くの経費は広告費に使用しています。まずは皆さんに知っていただくことが必要なため、チラシ折込みや町内会回覧板で告知しています。
タブレットを使うことに不慣れな方への説明や、入院・入所されている場合、施設等の理解がないとできない事業であるため、ご家族と施設との話し合いが必要にもなってきます。
これまで特別養護老人ホームに入所された方と親族とのタブレットを利用した面会を実施しました。通信機器の設置や使用法などを説明後、約30分間会話をしました。皆さん、久しぶりに見るお顔に話が弾んでいました。
不慣れな方にとっては、まだまだハードルが高いテレビ電話。
サポートがあることで、安心して利用できます。
― 実施してみての感想や今後の活動についてお聞かせください
今回は助成を利用して事業を行っていますが、タブレットを利用した事業は、これまでの事業にも加えていきたいと考えています。しかし、通信費が高額なことが事業を進めていく上で課題と思われます。さらに活動を広めるためには利用者を確保していくことが必要です。
また、今回のような助成事業を活用することで、他のNPOの方たちにも、活動の幅が広がっていくことを知ってほしいと思います。
なかなか利用できない環境にいる方々の力に
インタビューを振り返って
コロナ禍で入所・入院されている家族と会えないという、どちらも不安の中にいる時に、顔を見て話ができることは、お互いの安心感につながると思います。また、遠くにいる家族とは、ネット環境が整っていればすぐにできる時代ですが、なかなか利用できない環境にいる方々の力になることだと、実際に入所されている方とご家族とのテレビ通話の様子を拝見して感じました。
また、インタビューのあと、サロンで開催されているパッチワーク教室を見学し、これまでの地域活動がとても大切なことであること、日常生活の大切なことを拝見させていただきました。
9月16日、サロンのパッチワーク教室の様子
インタビュアー・記事作成
佐藤祐子(さとうゆうこ)
北海道NPOサポートセンター 編集ボランティア
[インタビュー]音楽には人を癒やすエネルギーがある ~ 一般社団法人札幌YWCA 榮さん
一般社団法人札幌YWCA
ステイホームの高齢者に届ける癒しのコンサートで、新しい生活様式後も演奏活動できるよう演奏家を応援する事業
ステイホームによって孤立化している高齢の方へ癒しを、コロナ禍によって演奏活動が制限されてしまっている音楽演奏家の皆さんに演奏の場を提供することを目的に、月2回のミニコンサートを企画・実施されている一般社団法人札幌YWCAを取材しました。
札幌YWCAは、1950年の設立以来、青少年の育成、平和への取り組みなど、その時代に札幌で必要とされる様々な活動を展開されています。
9月14日、Y’s Café(ワイズカフェ)でのコンサート当日、リハーサル中にお時間をいただき、会長の榮まり子(さかえまりこ)さんにお話を伺いました。
音楽演奏家の皆さんと高齢者の方々、両者の思い
― まず、今回の事業を行うに至った経緯を教えてください
以前から、アットホームな小さなコンサートを開催しており、音楽演奏家の皆さんとのつながりがありました。コロナ禍で演奏の機会を失い、活動中止されていることを知り、演奏家は演奏を聴いていただくことで成立しているのに、それができないということは大変なことだと思い、私たちが力になれることはないのだろうかと考えました。
また、YWCAは、ボランティア活動やプログラムを通して人が集まり、エンパワーするという活動してきましたが、コロナ禍では『人が集まる』という活動そのものができなくなりました。会員にも高齢の方も多く、特に一人暮らしの方は外に出て、活動に関わり、顔見て話すことで、心や身体の安定や健康を確認することもできます。外出の機会を失ったことで、不健康な状況に陥ってしまうのではという不安もありました。
音楽演奏家の皆さんのことと、高齢者の方々の両方を考えた時に、音楽を聴きに来る時間を作ることで両者の思いが叶うのではないか、音楽を聴くことで力を与えられるのではないかと考え、小さな音楽会を企画し、さぽーとほっと基金の助成プログラムを使わせていただきました。
ミニコンサート「Y's caféからのしらべ」
9月の演奏会プログラム。年代問わず、耳馴染みのある曲ばかりでした。
安心・安全な場所を提供できるように
― これまでの活動との違いや難しさはどんなところですか?
現在の演奏会の入場の定員は、Y’s Caféは10人。YWCA壘(るい)は演奏内容によって6~8人で開催しています。告知をするとすぐに定員になり、もっと広い会場で、たくさんの人に来てもらいたい気持ちはありますが、ソーシャルディスタンスをとる必要があるため、限界があります。
入場時は受付での検温や、事前に道外への移動の有無なども確認しています。フェイスシールドや飛沫防止のビニールシートを設置して、客席と距離を取れるようにし、楽器・演奏内容によって定員を減らすなど対応策が変わります。ソーシャルディスタンスを保ち、休憩時間には換気するなど、できる限りの対策はしていますが、「本当にこれで大丈夫だろうか」と、どこかで足元をすくわれるのではないかと、不安は残ります。
来年1月までの音楽会開催を予定していますが、冬場の換気については心配しています。今後の状況によって観客数を減らしたり、緊急事態宣言が出された場合には、演奏家の皆さんに協力を得ながら、Web配信のための準備をしています。
小さな会場はあっという間に満席に。皆さんリラックスして開演を待っていました。
弱い立場にある人たちが、どんどん声を出しにくい状況に
― 実施してみての感想や今後の活動についてお聞かせください
さぽーとほっと基金の助成を受けて、これで私たちらしい活動ができると思えました。この企画が、演奏家の皆さんの力になっているのか、高齢者の方々の癒やしになっているのか、リスクを上げてはいないか、いつも葛藤を抱えていますが、生の演奏、音楽には、人を癒やすエネルギーがあり、聴きに来てくださった方が、ホッとした、本当に癒されたという顔をされて帰られます。
私たちはボランティア団体で、活動することで資金を得て、活動することで社会を豊かしようとしてきましたが、活動そのものが制限されてしまい、どのように社会に貢献できるか悩み続けています。世界中が影響を受けているコロナ故に「私は大変」と言えない環境ができてしまい、弱い立場の人たちが、どんどん声を出しにくい状況になってしまっているように感じます。
現在の状況下で、どのような形であれば力になれるのかを伺い、課題はあるものの何ができるかを考えながら、今後も活動していきたいと思います。
(左)榮まり子さん
Y's café のある北海道クリスチャンセンターのロビーにて
音楽が人に与えるエネルギーを多くの方に
インタビューを振り返って
音楽会の開催のお忙しい日にインタビューを受けていただきました。会場の設営や感染対策をされている様子を見て、演奏者、観客、スタッフ等会場にいるすべての人に「何かあったら」という緊張感が伝わってきました。演奏者も聞き手も葛藤しながら開催している様子に、少しずつでも回を重ねてより良い上場を作り、音楽が人に与えるエネルギーを多くの方に伝え、感じてもらうことを願いました。
インタビュアー・記事作成
佐藤祐子(さとうゆうこ)
北海道NPOサポートセンター 編集ボランティア