団体からのお知らせ・インタビュー

2020 / 10 / 23  10:23

[インタビュー] 子どもたちが「頑張っている状態」になっている~ NPO法人フリースクール札幌自由が丘学園 高村さん

[インタビュー] 子どもたちが「頑張っている状態」になっている~ NPO法人フリースクール札幌自由が丘学園 高村さん

NPO法人フリースクール札幌自由が丘学園
不登校、学校について悩みを抱える子どもと保護者の居場所・相談・学習支援事業

 

新型コロナウイルスへの不安、長期の休校、学校・生活環境の変化にストレスを感じている子ども・保護者の方が多い中、不登校や学校について悩みを抱える子ども・保護者への支援を行っているNPO法人フリースクール札幌自由が丘学園を取材しました。

1993年に開校したフリースクール札幌自由が丘学園は、不登校の小中学生が安心できる居場所と学びの場を提供するフリースクール事業などを行っています。スタッフ高村さとみ(たかむらさとみ)さんにお話を伺いました。

 

btn_01project2.gif休校による子どもたちへの影響

― まず、今回の事業を行うに至った経緯を教えてください

現在、私たちのフリースクールには小学6年生から中学3年生まで約20名が在籍しています。札幌市と同じ期間は本学園も休校とし、4~5月は活動休止状態となっていました。その間、学習プリントの郵送などは行っていましたが、サポートは手薄になってしまったと感じています。また、保護者からは「ずっと家にいるため、運動不足などの健康面が心配」「家で自主的に学習していくことは難しそうだ」という声もありました。臨時休校期間は、不登校の子に限らず同じ不安や課題を抱える子が増えるのではないかと思います。

私たちがこれまでフリースクールとして培ってきたノウハウを生かしながら、こうした不安を抱える子ども・保護者に対してできるサポートとして、相談やフリースクール開放デーという子ども・保護者が安心して一息つけるための事業を考えました。

また、再び臨時休校になった際はLINE動画による授業配信を計画しています。これは、フリースクールに通う生徒の「LINEだったら、繋がれそう」という声からアイディアを得たものです。「学校の授業にはついていけないけれど、フリースクールの授業なら何となくおもしろそう」。そんな子に利用してもらえればと思います。

 

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学校とは違った居場所であり学びの場、そして新しい出会いの場。
フリースクールの校舎は札幌駅から徒歩圏内にあります。

 

 btn_01project2.gif「頑張っている状態」の子どもたちのSOSをキャッチできるように

― 事業を実施してみて、反響などはいかがですか? 

相談は、現時点では想定していたほど多くはありません。

土曜日相談会は、コロナがきっかけというよりは、元々課題感のある子どもの相談が多い印象です。子どもたちがどのような思いを持っているか、保護者の方がどのような心配を抱えているかを聞くなかで、コロナに関することをお伺いするような流れになっています。

開放デーは、フリースクールに関心のある人は誰でも参加できるようにしています。同年代の子どもたちと出会う機会にもなるので、相談というより、ここで楽しく過ごしてもらいたいと考えています。子どもたちに「何がやりたいか」考えてもらう時間もあるのですが、最近はボードゲームが人気ですね。気分転換にもなればと思っています。

 

― 子どもたちの状況について、どう感じていますか? 

私が気になっているのは、子どもたちが「頑張っている状態」になっていることです。

子どもたちは、子どもたちなりに今の状況を受け入れて頑張っている、頑張ってなんとかやっている状態です。休校明け・分散登校の流れの中で、勉強に追いつけず学校に行くのが辛くなってしまったというお話もあります。先生方も授業の内容を詰め込まざるを得ない状況になってしまっているようです。

まわりの大人たちから見ると、変わらないように見えるかもしれないけれど、頑張り続けていて、これから疲れが出てくるのではないかなと。早めにSOSをキャッチできるように、まわりの大人が気づくか、本人が言えるような環境を作ってもらいたいです。

 

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お話を伺った高村さん。
子どもたちの状況について、教員の方々との情報共有も積極的にされているそうです。

 

btn_01project2.gif困った時に相談できるところが存在していること

今後の活動についてお聞かせください

「困った時に相談できるところが存在していること」が大事なので、事業自体を多くの人に知ってもらえるよう、チラシの配布やSNSからの発信を行っています。

私たちは、子どもが頑張り過ぎている時や保護者が不安になった時に、頼ってもらえる存在でありたいです。フリースクールは、同じ境遇の子どもたちがいます。一度様子を見に来てもらうことで、「同じ境遇の子どもがこんなにいるんだ」と気づくことで、気持ちが楽になれると思います。

 

 

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インタビューを振り返って

取材に伺い校舎の階段を上っている時、談笑しながら歩いてくる2、3人の生徒さんとすれ違いました。そして教室の机には、たくさんの文字や絵が書かれていて、「ここでなら、自分を出せる」という自由な雰囲気があるように思いました。お話しを伺い、フリースクールが、子どもの居場所や学習支援という点で、災害時やこのたびの緊急時に居場所としての大切な機能を果たすことを実感しました。(高山)
 

インタビュアー 
高山大佑(たかやまだいすけ)
北海道NPOファンド
※インタビューは、2020年9月7日に行いました。

記事作成
佐藤綾乃(さとうあやの)
支援協議会事務局

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