団体からのお知らせ・インタビュー
[インタビュー]多様性の受容を社会に訴えることで社会の豊かさへつなげたい~さっぽろレインボープライド実行委員会 長谷川さん
さっぽろレインボープライド実行委員会
LGBTパレード開催を通じた、性的マイノリティ当事者の抱える諸問題(存在の否定・孤立・社会制度上の不平等)の解消に関する事業
(令和4年度札幌市市民まちづくり活動促進助成金 まちづくりの推進分野)
さっぽろレインボープライド実行委員会は、様々な立場に生きる市民が自分らしく生存できる社会づくりを求め、パレードを通じて、広く社会全体へ訴えかけています。そして、身近にLGBTQが存在することを前提とする社会制度の構築と、多様性を認め合い個性を尊重する豊かな社会の実現を目指しています。
今回は、実行委員の長谷川諒(はせがわりょう)さんにお話を伺いました。
※右写真:2022年のパレードの様子
もっと社会全体を巻き込んだ総合性のある活動に
― 今回の助成事業について教えて下さい
LGBTQセクシャルマイノリティ当事者の可視化であったり、権利の主張であったり、当事者間では情報交換や交流を目的としています。昨年9月に、札幌市内中心部の歩行者天国を使って、著名人をゲストに呼び、企業や団体にインタビューをしたり、パフォーマンスであったり、公開メイクショーといったステージイベントやブース出展を行いました。そして、メインプログラムとして、装飾した車の後ろを30~40分かけてパレードを行いました。
― このイベントの経過についてお聞かせください
札幌のLGBTQパレードは、実は東京の次に古く、日本で2番目の1996年に始まりました。そのころはまだ、LGBTQに対して理解が低く、あるいはヘイトを向けられるような対象という時代だったと思いますが、権利の主張と存在の可視化というのを強く意識したイベントでした。そこから、少しずつ認知されてくるようになったかなと思います。「LGBTQ」という言葉自体をまったく聞いたことないという方は、今ではほとんど居ないんじゃないかな。
一方で、権利という法で守られた存在ではありません。もっと企業や社会全体を巻き込んだ、総合性のある活動にしたいです。当初は1つのセクシャリティの方しか参加していませんでしたが、今では様々なセクシャリティの方が参加・運営に携わっています。
― コロナ禍での活動で工夫していることを教えてください
前年(2021年)、前々年(2020年)に関してかなり縮小して実施しました。メインイベント以外ではオンラインのイベントや配信を取り入れてみました。北海道という土地柄、遠方の方や、全国各地の方に参加していただけることもあり、オンライン上でメインのパレードイベントを周知して、二次的な集客に繋がるといったようなことも、オンライン開催でプラスに働いた感じました。運営側としても、比較的お金も掛けずにできることも、オンライン開催の良いところかと思います。
「この街で私らしく生きていく」
テレビ塔も虹色にライトアップ
セクシャリティの垣根を超えた交流の場に
― 新たな気づきや今後の課題を教えてください
私自身が初めてパレードに参加したのは10年以上前なのですが、その時から比べると、社会の雰囲気であったり、大きな企業が関わってくれるようになったというところが、大きく変わってきています。
イベントだけを、ただただ大きくして開催する、というのは意外と出来てしまうんだな、ということを昨年感じました。同じセクシャリティ同士の友達はいるし、同じセクシャリティ間の交流はよくありますが、抱えている問題はセクシャリティによって違うこともあります。もっとセクシャリティの垣根を超えた交流の場が増えるといいなと思います。運営面では、実行委員側の人員の確保や、仕事の割り振りは、毎年四苦八苦しているところです。活動に共感して協力してくれる人をどれだけ集められるかというところが、課題だと思っています。
インタビューを振り返って
社会のLGBTQに対する認識が変わってきてはいるものの、当事者の中には、いまだに孤独を感じている方が多いという。LGBTQに関わらず、人々がもっと生きやすい、ありのままの自分を出せる社会になることを願う今日このごろです。(斎藤)
インタビュアー
齊藤博美(さいとうひろみ)
北海道NPOサポートセンター
※インタビューは、2023年3月28日にオンラインにて行いました。