団体からのお知らせ・インタビュー

2023 / 03 / 13  11:26

[インタビュー]子ども達に身体を動かすことに大切さ、楽しさを感じてもらいたい A-bank北海道 木村さん

[インタビュー]子ども達に身体を動かすことに大切さ、楽しさを感じてもらいたい A-bank北海道 木村さん

一般社団法人A-bank北海道

アスリート先生
(令和4年度札幌市市民まちづくり活動促進助成金 子どもの健全育成事業)

 

A-bank北海道は、アスリートが培ったフィジカル・スキルを、北海道の学校教育、地域の力として活かす仕組みをつくることを目指し、産官学アスリートの連動により学校、地域にアスリートを派遣する事業などを行っている団体です。今回は団体事務所のあるコワーキングスペース・ドリノキにて、事務局長木村圭吾(きむらけいご)さんにお話を伺いました。

※右写真は、なわとびの授業の様子

 

btn_01project2.gifアスリートが子どもたちの夢や成長のための教材を考える

― まず、A-bank北海道の活動について教えてください

元コンサドーレ札幌の曽田雄志さんが、アスリートの有志とともに東日本大震災の復興支援を行うプロジェクト(ENプロジェクト)を立ち上げたのがきっかけです。ENプロジェクトの活動を行う中で、個人、NPO、企業など様々な関わりが生まれ、そこで築いたネットワークをもとに、2013年にA-bank北海道を設立しました。

子どもたちがスポーツや運動、体育を好きになってもらうために、我々に何ができるかというところから考えました。子どもたちの憧れであるアスリートが、夢や成長のための教材を考え、教員とともに体育の授業などにおいて指導を行うことができれば、よりスポーツに関心を持ってもらうことができ、より身体を動かすことに興味を持ってもらえるはず。そして、それが子どもたちに対して成長の機会を提供することにつながると考えました。

また一方で、当団体ではアスリートのキャリア形成という課題解決にも取り組んでいます。子どもたちが将来の夢としての『スポーツ選手』を実現できるのは一握りです。さらに、たとえその夢を実現したとしても、引退後の人生も豊かに出来ている方は更に少ないのが現状です。例えば、Jリーグの選手では大学卒業後にプロとなり実働3年、25歳で引退してしまう選手だって珍しくありません。でも、そうなるとその後の人生の方がずっと長いんですよね。ですから、アスリートに当団体の活動に参加してもらうことで、引退後のセカンドキャリア形成につなげます。

 

  btn_01project2.gif派遣するアスリートを「体育の授業の先生」として

― 今回の助成事業について教えてください

全道の小中学校・特別支援学校へアスリートを派遣します。運動の専門家であるアスリートから、直接体育の授業を受けることで、子どもたちに身体を動かすことへの興味関心を持ってもらい、スポーツの楽しさを実感してもらうことが目的です。

私たちの活動に対して教育委員会から後援はいただいていましたが、資金的な援助は無かったため、活動資金は賛同してくれる企業からの協賛金ですべて賄っていました。さぽーとほっと基金の助成を活用することで、より多くの学校へ伺えるようになればと考えて申請しました。これまでは年間20〜25校に訪問していました。でも、札幌市内には200〜300の学校があります。僕としては、可能なら全部の学校に行きたいんですよ。

授業は8種目。サッカー・バスケ・野球・なわとびなどで、「アスリート先生」の授業は学校からの応募により実施しているので、たくさん応募してもらえるよう毎年市内の全学校に周知しています。中でもなわとびとダンスは人気がありますね。

この事業は、『アスリートのイベントに子どもたちが来る』というスタイルではなく、当初から訪問の形を取っていました。派遣するアスリートを「体育の授業の先生」として扱ってほしいという考えです。なので、授業のカリキュラムづくりからアスリートが参加します。小学校5年生だと8時間ぐらいサッカーの授業があるのですが、学校に対しては、少なくともその半分は担当させてくださいと伝えています。学校の先生によっては、基礎をみっちりやってほしいというところもあれば、最後にみんなで楽しくゲームができるようにしたいという声もあり、様々です。各アスリートはその要望にあわせて、カリキュラムを作っています。アスリート自身にとっても指導者としての学びの機会にもなっています。

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 小学校でのダンス授業の様子

 

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中学校でのダンス授業の様子

 

 

― コロナ禍において、活動への影響はいかがでしょうか?

2020年は学校が休校となる期間もあり、1学期はまったく活動ができませんでした。1年間でまんべんなく活動できるように20校を選んでいたので、日程の再調整がとても大変でしたね。派遣するアスリートのうち、2/3は本業が別にあって、1/3は当団体の活動がメインです。当団体の活動がメインのメンバーは本当に大変でした。学校の授業とは別にイベントなども企画していましたが、すべて中止せざるを得ませんでした。2022年度になってからは、ほぼ行動規制もなくなり、基本的にはコロナ禍以前と同じ状況に戻ってきていますが、自治体主催のイベントはまだまだ慎重ですね。

また、子どもたちの習い事としてのスポーツもまだ満足に行える状況ではないですし、子どもたちが思いっきり身体を動かす機会が奪われているので、体力低下が心配です。屋外で人との距離があればマスクを外しましょう、体育の授業は熱中症の危険性もあるのでマスクは外しましょう、と言われるようになってはきましたが、多くの子どもたちはマスクを外しません。逆に外すことに違和感を持っている子どもさえいますし、先生方もマスクをつけたままなので、子どもたちも外しづらいですよね。そのような中で、こちらからマスクを外せとも言えない空気感は、正直つらいです。

 

― 運営上の課題や、今後の活動について聞かせてください

課題はやはり人ですね。業務量的には、もう1~2名ほしいところですが、人件費の負担を考えると難しいです。うちの事業は体験型なので、オンライン化しづらいタイプの事業でもあります。現在、事業はコロナ渦前の水準に戻ってきているとはいえ、100%ではない状況ですので、通常業務がもう少し回るようになれば、もっと事業の拡大など考えられるかなとは思っています。今が踏ん張りどころです。

 

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インタビューを振り返って

スポーツという、対面実施が前提である分野で活動をされているため、受けた影響が大きいですが、培ってきた実績、高い専門性を活かして活動を継続されていることが、素晴らしいと感じました。(久保)

 

 

インタビュアー 
久保匠(くぼたくみ)北海道NPOサポートセンター
※インタビューは、2
022年10月5日にさっぽろ大通コワーキングスペース・ドリノキにて行いました。

 

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