団体からのお知らせ・インタビュー

2022 / 04 / 01  11:13

[インタビュー]働くことについて、気楽に真面目な話をする場~ハタモク北海道 中田さん

[インタビュー]働くことについて、気楽に真面目な話をする場~ハタモク北海道 中田さん

NPO法人ハタモク北海道
学生と社会人が働く目的を語り合う「ハタモク」事業
(令和3年度札幌市市民まちづくり活動促進助成金 さくらマネジメントグループ基金助成事業)

 

北海道の学生と社会人で「何のために働くのか」を気楽に真剣に語り合える場を創る、増やす活動を行っているNPO法人ハタモク北海道を取材しました。働く目的や意味を考えるきっかけや、社会人との交流の機会としてワークショップ『ハタモク』を開催しています。

今回はオンラインにて、代表理事中田隆太なかたりゅうた)さんにお話を伺いました。

 

  

btn_01project2.gif学生と社会人が、働くことについて自由に話をする場をつくる

― まず、ハタモク北海道の活動について教えてください

『ハタモク』というワークショップ形式のイベントは、東京でスタートしたものです。東日本大震災があった2011年に、学生と社会人の交流の機会や、働くことについて、気楽に真面目な話をする場が必要ということで開始し、全国各地で開催されています。私は、たまたま縁があって、2012年に東京で開催されていた会に参加して、「北海道でもやりたい!」という思いを抱きました。

東京のメンバーの協力を得ながら、2013年に北海道で初めての『ハタモク』を開催しました。その後、学生と社会人が、働くことについて自由に話をする場をつくることを目的として、2年ほど任意団体として活動し、2016年にNPO法人として再スタートしました。

私自身は、大学で就職支援の部署で仕事をしているのですが、学生の中には、働くことについて考える機会を持つことができないまま就職活動に入り、「内定を取る」ことが目的になってしまっている人もいます。就職に関するセミナーの中心は、面接の方法やエントリーシートの記載方法といったものになってしまいがちです。そして、「身近な社会人」というと、保護者やアルバイト先の人がどうしても中心になってしまいます。「社会人」と一言で言っても、いろんな人が世の中にいる。『ハタモク』は、そういう人たちと関わる機会をつくるイベントでもあります。

以前は、参加者の中心は大学生でしたが、最近は高校生が増えてきました。札幌だけではなくて、全道に展開中ですが、エリアによって、参加者層が異なります。旭川では高校の先生がメンバーにいるため、高校生の参加者が多いですね。

現在、スタッフとなっているメンバーは15人ほどで、高校生・大学生・20代~50代の社会人が入れ替わりながら運営しています。新しいアイディアは若いメンバーから出されて、「やりたい人ベース」でパッとスピーディーにやる傾向があります。オンラインでの『ハタモク』開催も、「とりあえずやってみよう!」という声が上がり、昨年チャレンジしました。SNSの活用や、オンラインと対面でのハイブリッドでの開催も、学生メンバーからの提案でした。

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 btn_01project2.gifハイブリット形式での『ハタモク』開催

― 今回の助成事業について教えてください

以前の『ハタモク』では、参加者同士は近距離で、膝を突き合わせて話をしていたので、かなり密な状態となっていました。当然、コロナ禍では同じような対面での開催が難しくなり、2020年度は完全オンラインで数回開催しました。しかし、あらためてオンラインだけではなく、対面での交流も機会も必要と感じました。

徐々にイベント開催に際しての感染症対策や、参加方法の選択肢も増えてきたので、助成事業の内容は、オンラインと対面のハイブリット形式での『ハタモク』開催です。グループに分かれて話し合いをするので、オンライン参加の方がどのような形で参加できるか、そのための環境整備のための備品調達などが必要になり、助成申請しました。

既に6月と10月に実施しており、次は12月に開催を予定しています。開催形式は、会場の収容人数に対して、対面での参加者数を限定した上でオンライン参加者を募り、ライブ配信でつなぐという形です。会場全体を写すカメラや、音声がしっかり入るように性能の良い集音マイクを用意して、オンライン側も会場側も差が出ないように、運営側としては万全の準備をしました。やってみたら「意外といけたな」という感じでした(笑)。感想や参加者からのリアクションには、対面開催時と、あまり差はみられなかった印象です。

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btn_01project2.gifこれからの社会がどのように変わっていくのか

― コロナ禍において、活動への影響や学生の様子はいかがでしょうか?

以前はイベント開催だけでなく、高校の探求学習などで社会と接する機会を通じてイベントの開催・運営に興味を持った生徒の活動をサポートしていたこともありますが、コロナ禍における『ハタモク』の活動としては、あまり変わっていません。

2020年は、小中学校も含めて一斉休校にもなり、それが新年度とも重なって、新しい環境においても、「なにもできない」というストレスや不安を感じている学生が多かったと思います。その時に、最も「だれかと話をしたい」というニーズが高まったのではないかと感じています。いま置かれている状況下で、外とのつながりを求めている感は強いです。コロナ禍2年目になり、オンラインの活用や対面での機会が増えてきたことにより、1年目ほど「困った・困った」という雰囲気は減りましたが、『新しい生活様式』でこれからの社会がどのように変わっていくのか、これまでやってきたことがどのように変化していくのか、より真剣に考えるようになりましたね。

 

btn_01project2.gif「やりたいひとベース」で動く

― 運営上の課題や、今後の活動について聞かせてください

コロナ禍以前は、網走や函館、室蘭などでも開催していたので、また道内の他の地域でも開催したいと考えています。ハイブリッド形式だと、開催地に限らず全道から参加できるので、より多くの人に参加してもらいたいと思っています。

運営メンバーに専従のスタッフはおらず、全員が社会人か学生で、ボランティアで関わっているため、どうしても時間の制約があります。平日に様々なところを訪問して打ち合わせすることは難しいですね。また今後、感染症の状況が落ち着き、移動ができるようになると、宿泊費や旅費がかかるのでそれはそれで、課題です(苦笑)。

専従スタッフを置くとなると、かなり大きな舵を切ることになりますね。今の活動は、人を雇う規模ではないと思っています。学生を対象とした事業なので、受益者負担では限界がありますが、就活イベントとは違うので、企業関係者や社会人も、あくまでも個人としての参加をお願いしています。

開催頻度が多くなったり、助成金を受けると、正直なところ事務的な負担は増えますが、今のところは、今後も、私たちの考え方に共感してもらい、「やりたいひとベース」で動くという、現在のスタイルを継続していく方向で考えています。

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インタビューを振り返って
高校生や大学生のうちから、働くことについて社会人と話せる場をつくる、という活動はこれからニーズがますます高まると思います。また、「やりたい人ベースで動く」スタイルは、参加する社会人にとって魅力的でしょうし、その中で若い世代がどんどんアイディアを出しているということで、好循環を生み出していると感じました。学生、社会人の力を活かすという意味で、参考になるお話が聞けたと思います。(高山)

 

インタビュアー 
高山大祐(たかやまだいすけ)
北海道NPOファンド
※インタビューは、2021年11月18日にオンラインにて行いました。

 

記事作成
佐藤綾乃(さとうあやの)
支援協議会事務局

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