団体からのお知らせ・インタビュー
[インタビュー]安全で楽しい自転車の利活用を~認定NPO法人ポロクル 熊谷さん
認定NPO法人ポロクル
「安全で楽しい自転車の利活用」を「新しい生活様式」に取り入れて、札幌のまちを元気にする事業
「新しい生活様式」の一つとして提言されている自転車の利活用を提案する動画を制作した、認定NPO法人ポロクルを取材しました。
ポロクルは2011年から本格的に札幌市中心部にて、自転車のシェアリング(共同利用)サービスを提供しています。市内48か所で自転車をレンタルすることができ、1日の利用回数は多い日で2,600回になります。事務局長の熊谷美香子(くまがいみかこ)さんに事業内容や活動を通して見えてきた課題などについてお話を伺いました。
「新しい生活様式」の実践例としての自転車
― まず、今回の事業を行うに至った経緯を教えてください
「新しい生活様式」の実践例として、公共交通機関と併用して自転車を活用することが提言されました。それを受けて移動手段を自転車に替えることが増えたのに伴い、マナー違反も多くみられてきました。
加えてポロクルの内部からコロナ禍の課題として、自粛ムードが続くことで外出の機会が失われ、心身の健康を害した方もいるのでは、という意見がでたこともあり、ポロクルとして何かできることがないかと考えたところ、インターネット上で見られる動画を通して、お客様やポロクルのメンバーが感じたことを伝えて、安全な乗り方や自転車の楽しさを伝えることができないかなと思い、今回のプロジェクトに至りました。
動画を通してマナーや楽しさに気づくきっかけに
― 従来の事業と違うと感じた点はありますか
シェアサイクルでは通常マスクを着用して利用してもらうため、楽しそうな表情を表す難しさがありました。またルールやマナーを啓発することにはすごく気をつかいました。様々なシチュエーションを想定して作ったので、市民の方々自身で、『正しい自転車の乗り方』を知るきっかけにしてほしいと思います。
動画作成に携わったスタッフや市民からは、「自分のライフスタイルを紹介できて楽しい」などの声をもらい、撮影先や関係部署などもNGが出ることはなく、みんな前向きに一緒に取り組んでくれました。今回は自転車に特化して動画を作りましたが、その中では歩行者や車に対しての思いやりを込めた内容にしたい気持ちも入っています。
現在約400の閲覧数がありますが、この動画を通していろいろな方が、マナーや楽しさなどに気づくきっかけになり、いろいろな声が上がればいいなと思っています。
※動画は9月1日に公開。インタビューは9月4日に行いました。
動画「NEW SAPPORO ♡ BICYCLE DAYS」
YouTube「ポロクル公式チャンネル」にて公開中!
― 活動を通じて見えてきた課題はありますか。
車道を走るのはやっぱり怖いという声も聞きますので、自転車が安心して走れる道路の整備が進むことを期待すると共に、子供の頃からの自転車交通安全教育は必要だなと感じています。
― 今後、同様のテーマで活動を広げていく考えはありますか。
現在ドコモシステムを導入した2年間の共同運営の試行中で今年は最終年度となります。事業継続に向けて、運営方式や収益性について評価を行い、また、今年の利用実績などもふまえて新生活様式におけるポロクルの新たな社会的役割についても把握・考察していきたいと考えています。もちろん、同様のテーマでの活動事業にも取り組んめたらと思っています。
NEW SAPPORO♡BICYCLE DAYS
インタビューを振り返って
インタビューに不慣れな私を気遣い、ざっくばらんにお話をしてくれた熊谷さん。お話を伺っていて、本当に自転車で札幌を盛り上げたいというお気持ちが伝わってきました。今回の動画「NEW SAPPORO♡BICYCLE DAYS」を拝見して、自転車に乗っている人の気持ちを吹き出しで表したのが新鮮で、熊谷さんの言葉通りみなさんで楽しく制作されたんだなと感じるとともに、特に車道の正しい走り方が丁寧に描かれています。
札幌市の自転車専用道路はあいの里地区などで見られるものの、中心部では安心して走れる箇所が少なく、私自身危険な運転を目にすることも多くなりました。この動画が一人でも多くの方の目に触れ、「ポロクル」が自転車の楽しさと安全を象徴する言葉になることを願っています。
インタビュアー・記事作成
山内克弘(やまうちかつひろ)
北海道NPOサポートセンター 編集ボランティア